【CHANEL】黒いシミが!シャネルのバッグ修理

革研究所 小倉田川店 岩井です。
工房の移転に伴い、HPをリニューアル致しました。
今後は修理の事例だけではなく、革製品のお手入れ方法など幅広い内容をこのHPでお伝えしたいと思います。
さて、リニューアル後の第1回目のブログは、シャネルのバッグについたシミと傷の修理を紹介致します。
目次
シャネルのバッグにカビ痕のシミが・・・・
今回は、前に一度ご相談頂いたお客様からご依頼頂きました。
「子供の入学式の時に持っていこうと思ったんですが、カビがのシミや傷がついていたんです・・・」
早速バッグを拝見させて頂くと、このような状態になっていました。
①カビ痕のシミ
バッグの表面にはっきり目立つ黒いシミがあります。おそらくカビが生えてしまい変色したと思われます。
②バッグ角の傷
バッグの角が擦れて傷つき、表面が白くなっています。
このまま放置すると革が破れてしまい、パイピング(角の筒状の部分)を交換する必要が出てきます。
③ボールペンのシミ
バッグの内側に、ボールペンのインクが付いたような線が入っています。
シャネルのバッグ 傷の修理とシミ汚れ直し
バッグを拝見して、今回はこのような修理を行う事にしました。
①角部分の傷補修
②シミ及びインクの塗装修理
この2つの修理方法を取る事で、シミや傷のついたバッグは、再び使えるように甦ります。
シャネルのバッグが甦る3つの手順
1.クリーニング
お預かりしたバッグは最初にクリーニングを行います。
※写真はイメージです。
この作業によって、表面についた油分やほこり、汚れを落とします。
表面に汚れがつたままだと、塗装の際に定着しない場合があるので、重要な作業になります。
2.バッグの傷修理
写真のとおり、角の部分が擦れてしまっています。白く見えているのは、革の表面の塗装が剥がれて、表面が毛羽立っているからです。
このままの状態では、革が薄くなり破れてます。破れてしまうと写真のように、中の芯材が見えてきます。
※写真はイメージです
この状態になると、破れた部分だけでなく、筒状の部分(パイピング)全体の交換が必要になってきます。
ここまでの状態にならないよう、今回の修理では革に表皮再生剤を塗ります。この表皮再生剤によって、弱くなった革を強化します。
その後は研磨を行い表面を整えて、塗装を行い、違和感のないように仕上げます。
3.シミ及び汚れの塗装修理
革についた汚れは放っておくと表面だけではなく、内側に染み込んでしまいます。そうなると、汚れを取ることは非常に難しくなります。
このように汚れが定着した場合は、同じような色で塗装して、汚れを塗り消してしまいます。
薄い塗装の膜を重ねていく事によって、徐々に汚れが見えなくなります。
薄い層を重ねるように塗装する事で、革の柔らかさを残したまま、補修する事が出来ます。
甦ったシャネルのバッグBefore After
修理を行った結果、バッグはこのように甦りました。
①角部分の傷
修理前
修理後
角の部分についていた、傷や毛羽立ちはすっかり見えなくなり、違和感のない仕上がりになりました。
②シミ及び汚れの塗装修理
修理前
修理後
このように、塗装によってカビの跡は完全に見えなくなっています。
修理前
修理後
ボールペンの跡も、この通り見えなくなっています。これで汚れを気にせずに使う事が出来ますね。
甦ったバッグのお渡し
修理の終わったバッグをお客様にお見せした所、「とても綺麗になりましたね!これでまた使い続ける事ができます!」と大変喜んで頂きました。
さらに、より長く革製品をお使い頂く為、特製の革用オイルまでご購入頂きました。
これでまた、イベントの時などにバッグをお使い頂けますね。
大事なバッグも長く使用していると、必ず傷や汚れがついてきます。
大切なバッグを再び使えるようにしたい、そんな思いをお持ちの方、まずはご相談ください。
すぐに返信させて頂きますので、お問合せの際にはバッグの写真をお送りください。
大切な物をいつまでも使いたい、そんなお気持ちにお応え致します。